■人の叱り方をみているとものすごく気になること
いつも人の叱り方をみていると、すごく気になることがあります。
それは『親が一方的に話して終わってしまっている』ということです。
少し前の話ですが、数組の親子と終日過ごす機会がありました。
そこでA君(仮称)が、他の子のおもちゃを取り上げて喧嘩になりました。
喧嘩が激しくなったので親が注意しに来たのですが、注意を始めるとA君は泣き始めました。
親はしばらく『人のもの取っちゃダメでしょ!』と注意していましたが、A君が泣き続けるので最終的には
親『わかった?わかったね?』
A君『(泣き続ける)』
親『じゃあもうしちゃダメだよ』
A君『(少し泣き止む)』
親『はい、じゃあいいよ』
と言って話を終わらせました。
A君は何にも答えていません。
ただ泣いてただけです。
ちなみにA君はその日終日一緒に過ごしたので、特に扱いが難しいお子さんではないことは分かっていました。
さらに、似たような事案がその日2回起きたので、おそらくいつもこのような叱り方になっている可能性が高いと思いました。
■泣いていたら話が終わる、という学習
この場合、子どもは『泣いていれば話が終わる』と捉えている可能性が高いです。
要は「怒られる」という嫌な事態を『回避』するための行動です。
どうすればこの嫌な事態を早く切り抜けられるかを子どもは学習していきます。
A君の場合は泣いていましたが、他の行動もありえます。
例えば
・黙り込む
・とりあえず『ごめんなさい』と謝る
・キレる
などです。
こういう行動をとれば、事態が収束すると学んでしまっていると、子どもはこれを繰り返します。
●怒られる→回避行動(泣く、黙る、謝る、キレる)
→問題となったそもそもの行動は改善されない
これにより、何度も同じことを繰り返す、
言っても聞かないということが起きます。
■叱る時に大切なことは『子ども自身に考えさせる』こと
これはきっと子どもだけでなく、部下を叱るときも同じだと思うのですが、大切なのは『本人の頭で考えさせること』です。
こういうと、『ちゃんと自分で考えなさい!』と言って終わってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、それもまた違います。
考えさせるのは次のようなことです。
●なぜこんなことになったのか?
●どうすればそうならないのか?
●そのためにどんな解決策があるのか?
これらのことを、子どもに考えさせているでしょうか?
親が勝手に考えて、先回りして一方的に話して終わっていないでしょうか?
『考えることができる子ども』になってもらう機会は日常の中にたくさんあります。
学習教材の中の『考える』ではなく、実生活に即した、リアルな人間関係の中の『考える』を体験できた方が何百倍も生きる力になると私は考えています。
ですから、ぜひ親自身が子ども自身に考えさせる癖をつけて欲しいなと思っています。
もちろん、子どもの年齢に応じた『考える』でいいと思います。
やってみると意外と幼児でもちゃんと『考える』ことはできるんだな、とびっくりすると思います。
子どもから『考える』機会を奪わない叱り方を身につけましょう。
●何でだと思う?
●どんな気持ちだった?
●ママに教えて?
●どうすればいいと思う?
答えを準備せずに、まずは子どもに答えさせましょう。
親の思うような答えに導こうとするのではなく、『一緒に考える』スタンスでいればいいのです。
社会人になった時に、身につけて欲しいスキルはきっとここで身につきます!
意外と簡単なのでぜひ今日からやってみてください。